SSブログ

自分にもわかる、iYM2151マニュアル(3) [音楽]

iYM2151 - DETUNE Ltd.iYM2151 (DETUNE Ltd.)


■各オペレータのパラメータ(2)

前回は各オペレータのパラメータのうち、AR、SR、DR、RR、SLを解説した。オペレータは他にも、以下のパラメータを持っている。

TL(Total Level)
オペレータの出力レベルを設定(0-127)。0で出力最大、値が増すほど出力が下がる。

KS(Key Scaling)
ARの立ち上がり時間、DR・SR・RRの減衰時間を、音程が上がるほど速める(0~3)。3でもっとも大きく変化。ピアノのように低音域で「ポーン」と長く、高音域で「ポン」と短く鳴らす場合などに使用。

ML(Phase Multiply)
オペレータの周波数比を設定(0~15)。0のときは打鍵した音程の0.5倍、1~15のときは1倍~15倍の周波数が出力される。ちなみに、0.5、1、2、4、8はオクターブ違いの同じ音程。

D1(Detune 1)
ピッチ(出力周波数)をわずかに変更させる(0-7)。

D2(Detune 2)
ピッチ(出力周波数)を大きく変化させる(0-3)。MLでは整数次倍音しか設定できないが、D2を使うことで非整数次倍音を出力できる。

AE(Amplitude Modulation Sensitivity Enable)
ハードウェアLFOを使ってオペレータに振幅変調をかける場合は1、かけない場合は0にする。ただし、ハードウェアLFOはSEQ画面でしか操作できない(ように思うんですが…)。今後シーケンサーを説明する余力があれば、改めて取り上げる。



■MLとTLを使って、オルガンの音を作る

前回オペレータ1つで時報音を作ったが、単なるサイン波の「ポーン」という音では「楽器」として使えない。そこで今回は、複数のオペレータで「ハモンドオルガン」風の音を作ってみる。ハモンドオルガンは「複数の倍音を重ねて音色を作る」オルガンであり、iYM2151のアルゴリズム8で音作りするのにちょうどよいお題だ。

ここで覚えておくべきは、「倍音とは、基音(もとになる音程)の2倍、3倍、4倍……に当たる周波数の音」であるということ。

NHKの時報「ピ、ピ、ピ、ポーン」の「ピ」は、音程「ラ」の音(周波数=440Hz)である。この「ラ」の第二倍音は1オクターブ上の「ラ」(880Hz)。第四次倍音は2オクターブ上の「ラ」(1760Hz)、第八次倍音は3オクターブ上の「ラ」(3520Hz)になる(第三、五、六、七倍音をすっ飛ばしてしまったが、ここでは「1オクターブ上がるごとに、周波数が2、4、8…倍と倍々に上がる」ことがわかればOK)。

この倍音が実は、楽器の音色を決める重要な要素だったりする。同じ「ピー」というクラリネットとリコーダーの音を識別できるのは、それらの音に含まれる倍音成分が異なるからだ。逆にいえば、アナログシンセサイザーやFMシンセサイザーは「倍音成分を操ってさまざまな音を作り出す楽器」ということにもなる。

では、早速音色エディットにかかろう。お手本の音色はこちら。




【MLを操作して倍音を加える】

133745209150813123593_iym2151-03-01.jpg
↑本連載第1回を参考に、音色「init」をロードしてOEを「1 0 0 0」に変更。パラメータを指でタッチしたあと、そのまま離さずスライドして変更することもできる(上・右=加算、下・左=減算)。

133745211181113209107_iym2151-03-02.jpg
↑ここからは1オペレータずつ倍音を加え、画面下部のミニキーボードを弾いて音の変化を確認。OP2 MLを「2」にして第二次倍音を加え、OEを「1 1 0 0」にすることで、早くもオルガンのような音が鳴る。

133745214184713209596_iym2151-03-03.jpg
↑続いてOP3 MLを「4」、OEを「1 1 1 0」に。音が硬質になり、華やかさも増す。

133745216479613209127_iym2151-03-04.jpg
↑最後にOP4 MLを「8」、OEを「1 1 1 1」に。音に厚みが出てお手本の音に近づいてきたが、硬質さが残る。

133745218642913209127_iym2151-03-05.jpg
↑OP1~4のTLを「00、06、16、32」に設定。TLは値を上げるほど出力レベルが下がる。倍音のレベルを下げて音色をマイルドにすれば、お手本にかなり近づく。


なお、オペレーター0のMLが「0」になっているが、これは第零次倍音ではない(そんな倍音はないw)。ML=0の場合は内部的に「0.5」として処理され、「基音(第一次倍音)の周波数÷2」Hzが出力される。つまり、「1オクターブ下の音」だ。







Sponsored Link


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。